付き合ってあげてもいいかなは、BL(ボーイズラブ)ならぬ、GL(ガールズラブ)、つまり百合の話。
大学の軽音サークルに所属する、みわと冴子のバンド内恋愛。自分とも、他人とも、向き合うことが必要になってくるのが19歳という年頃。
付き合ってあげてもいいかなの感想、評価、口コミをネタバレ込みでご紹介します。
付き合ってあげてもいいかなの感想・評価・口コミ
付き合ってあげてもいいかな1巻のみんなの感想・評価・口コミ
付き合ってあげてもいいかなを読んだ人に多かった感想は「自然体」「付き合ってからの悩み」。恋愛は、付き合うことが目的じゃなくて、付き合ってからが本番。
大学生になると、大半は初恋を経験している。初恋では、とても純粋でありながら、時に性欲にまみれ、時に愛情に溢れ、いずれにしても、相手ではなく、自分の中だけで完結していることが多い。
「告白してフラれて、今の関係すら失ったらどうしよう」という思いがまさにそのことを表している。
とはいえ、初恋や片思いをしているときというのは、とても楽しいもの。恋愛漫画においても、「初恋」「片思い」というのは、避けては通れないテーマなのだ。そのせいで、恋愛漫画では、片思いが実って、付き合うことになってからを描くものは意外と少ない。
すでに付き合っている状態で、浮気だ、別れるだといったドロドロのものはあるけど、「付き合ってあげてもいいかな」のように、お互いが自然体の状態で、これからどうなるか?といったところを扱う作品は少ない気がする。
作者のたみふるさんも、あとがきで、このことに触れている。
印象に残ったセリフ
それはもう好きってことじゃないの?
飲み会の後で付き合うことになったことに対して、「本当にこのまま冴子と付き合っていいのか?」「自分は冴子のことを恋人として好きなのか?」と悩むみわに対して冴子がいったセリフ。
スッと納得できる言葉。
付き合ったことがないと、どうしても「付き合うこと」に対して、ハードルとか理想が高くなってしまう。「こうなりたい」ではなく「こうあるべき」で考えたり、行動しがち。
そんな真面目な話はいいから、とりあえず、付き合ってみればいいじゃん?という冴子の言葉にギクっとしました。
我慢ばっかの人生とか、嫌だし。
女同士で手を繋いで街を歩くことに抵抗を感じているみわに対して、冴子はオープンでまったく気にしていません。自分の価値観が世間では珍しいことを自覚しているけど、世間の価値観に合わせて我慢して生きるのは嫌。
周りの目を気にして生きることに慣れている身としては、グサっとくる言葉です。
みわちゃんって、ぶっちゃけ、
めんどくさいよ?
本人に悪気なく、こんなことをぶちまけられるっていい。相手が嫌いだからではなく、自分がそう思ったから言う。そのことで相手が傷つくのはどうかと思うけど、相手に嫌われないように、本心を隠しとおすのもなんか違う。
好きと嫌いは表裏一体。ちょっとしたことがきっかけで、簡単にひっくり返ったりする。
好きな人にも、嫌なところは当然あるし、好きなところも、嫌いなところも全部含めて、付き合うから恋愛なのだ。
付き合ってあげてもいいかなの登場人物
みわ
女性しか好きになれない。高校の時に男の子とも、いい関係になっていたが、その関係が壊れてしまうことに不安を感じ、告白までは至らなかった。
容姿がとてもいいので、大学で入った軽音サークルでは、すぐに男から言い寄られる。「自分は女しか好きになれない」など言えるはずもなく、困っていたところを冴子に助けられる。
冴子
みわと同じく、女性しか好きになれない。中学生の時に、「彼女」と付き合ったことがあるが、周りからの理解は皆無で、批判が自分ではなく「彼女」に向いてしまったことで、女同士で付き合うことに抵抗がある。
「開き直って生きるって決めた」と言っておきながら、まだ自分ではなく、大切な人に批判が集中することにたいしては、開き直れずにいる。
みっくん
軽音サークルのボーカルで彼女持ち。見た目は決してよくないが、とても優しい。みわと冴子が付き合っていることを知っても、「俺は味方だから!」批判することはない。
鶴田
サークルの新歓コンパで、みわに一目惚れ。寄った勢いもあり、いきなり告白してしまう。返答に困っているみわを察して、冴子が「普通に仲良くする」という流れに持っていった。
それからもルチャと同じように、何かにつけて、みわに迫る。ただ、みわと冴子が付き合っているとカミングアウトしたときは、「そこまで器小さくないから!」と二人の関係を認めている。