ダイの大冒険

ポップの成長を名セリフと一緒にたどる

ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜ポップの成長を名セリフと一緒にたどる

ダイの大冒険のポップは、作中でもっとも成長幅の大きいキャラクターです。

そんなポップの成長を、名セリフや、メガンテを使う名シーン、そして、魔法使いである彼が、さらに成長するきっかけとなる呪文メドローアを習得するシーンなどを辿って紹介していきます。

ダイの大冒険のポップ

ダイの大冒険のポップは、武器屋の息子として生まれた、ごくごく普通の人間です。

だから、村人Aとして

「武器屋なら、そこの角を右に曲がったところにあるよ。」

というセリフだけ残して終わりのはずでした。

しかし、その昔、魔王ハドラーを倒した勇者アバンが、ポップが住む村を訪れた時、無理やり弟子として旅についていくことで、勇者の仲間の1人として数えられるようなキャラクターに成長します。

それどころか、終盤では、主人公の勇者ダイを飲み込むほどの存在感を示しています。

ポップの成長のきっかけ

それでは、ポップの成長を名セリフと一緒に、辿っていきます。

ポップのセリフは、大げさじゃなく、これからの生き方にも影響を与えてくれるものばかりです。

それを私のつたない文章で知るのはもったいないので、なるべく一番重要なところは割愛して紹介していきます。

ポップのダメ人間っぷり

最初の頃のポップは、自分より弱いものには強気に出て、自分より強いものが現れたら、仲間の影に隠れるような人間でした。

獣王クロコダインと初めて対峙した時、敵がハドラーより格下だと知ると、

「ハドラーでさえ、おれたちがコテンパンにのしてやったのに、お前なんかで相手になるかってんだ!!」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜18話

と言い放ちます!

ですが、隣にいるダイは

おまえなんにもしてなかったじゃんか・・

と呆れ顔で思うのでした笑。

そんなポップの薄っぺらい化けの皮は、簡単に引き剥がされることになります。

ポップは自慢の火炎攻撃を放つも、クロコダインに息だけでかき消されてしまいます。そして、クロコダインがお返しとばかりに放った一撃は、地面を大きく切り裂きます。

クロコダインの怪力をみて、「正面からではなく、隙をついて攻撃するから、呪文で援護してくれ」とポップに作戦を伝えるダイ。

しかし、ついさっきまで、隣にいたはずのポップの姿は既にありません。クロコダインの力にビビったポップは、一目散に逃げ出していたのです。

ポップ・・!そりゃないよ!!

本当に、もう、ダイのおっしゃる通り笑。

ポップは、敵を挑発して、怒らせるだけ怒らせておいて、敵わないとわかると、真っ先にトンズラかましたのです。

さらに、ポップのダメ人間っぷりは、続きます。

ロモスの城に総攻撃を仕掛ける、獣王クロコダインを倒すべく、泊まっていた宿屋から、決死の覚悟で飛び出したダイ。

マァムはポップに「私たちも行きましょう!」と、ダイを助けに行こうとするのですが・・。

「・・そりゃあダイはいっしょに修行した仲間だけどよ・・あ、あいつがいるから敵が次々と襲ってくるんだぜ・・まきぞえくって・・死にたかねえよ!!」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜24話

クロコダインと一度戦って、敵の強さをまざまざと見せつけられているポップは、村人Aよりも情けないセリフを口にします。

同じアバンの使徒で、アバンの仇を討つためにダイや、ポップと旅を共にすることを決めたマァムは、ポップのこの言葉に、怒りというよりも、悲しみや落胆で一杯になります。

ポップの変化

城から聞こえた大きな爆発音に、「もしやダイたちが・・」と、不安に思いながらも、「今更、あいつらがどうなったって関係ない!」と思い直すポップ。

そんなポップの元に、まぞっほという、偽勇者の魔法使いがやってきます。

まぞっほは、かつては正義の魔法使いを目指して修行していましたが、自分より強いモンスターに遭遇すると、仲間を見捨てて逃げ出すことを繰り返し、今は、似たような仲間と一緒に、弱いモンスターだけを狙って、小金稼ぎをしています。

まぞっほは、ポップに「お前もワシたちと一緒にくるか?」と誘います。

この誘いに対してポップは、

「いいか!?おれはなかつて魔王を倒した勇者アバンの弟子なんだぞ!てめえらみたいな小悪党といっしょにすんな!」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜27話

と、言い放つのですが、

「仲間を見捨てるような者でもつとまるのかね。かの有名なアバンの使徒というのは・・!?」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜27話

とまぞっほに返され、何も言えなくなってしまいます。

さらに、まぞっほに、勇者とは何者で、真の勇気とは何なのかを説かれたポップは、胸に残った一欠片の勇気だけを頼りに、仲間の元へと駆け出すのでした!

思えば、ポップの勇気に火をつけたのは、このまぞっほでした。

初めはどうしようもないダメ人間だったポップを、最後は味方だけでなく敵までもが一目置くような存在に成長させる変化のきっかけになったのは、同じダメ人間だったのです。

まぞっほも、人間味あふれるキャラクターで、このシーンはダイの大冒険のなかでも、間違いなく名シーンの一つに数えられる場面です。

ポップの勇気の源

勇気を振り絞り、クロコダインに立ち向かったポップは、その後もダイやマァムといった仲間と一緒に成長していきます。

ただ、ポップを強敵に立ち向かわせる勇気の源になっていたのは、「仲間のため」とか「アバン先生の仇を討つため」というものだけではありませんでした。

実は、ポップは、マァムに好意を抱いています。最初は気になる程度だったんですが、その思いは次第に大きくなっていきます。

ダイが、

「はは〜ん、ポップ〜、おまえマァムのことが好きなんだろ〜〜!?」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜22話

と、茶化すとポップは、

「とっ、とっ、突然なに言いだしやがんでっ!!なっなんでおれがあんな女なんかを・・!!」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜22話

と、顔を真っ赤にして否定しますが、誰がどうみてもバレバレです笑。

ポップが、強敵に会っても、逃げずに立ち向かえるのは、

“好きな女のために、カッコいいところを見せたい”という、なんとも人間味溢れる理由もあったんです。

ポップのメガンテ

ダイの大冒険のポップを語る上で、絶対に欠かすことができないのが、ダイが父親であるバランとの戦いで、記憶を無くした時のことです。

バランは、戦闘力だけでいえば、魔王軍の中では最強です。そんなバランに、ダイたちは手も足も出ない上に、肝心のダイは記憶を消されてしまっています。

というのも、バランの目的は、ダイたちを倒すことではなく、息子であるダイを魔王軍に迎え入れることでした。

しかし、当然ながらダイはそれを拒否したため、まずは邪魔な記憶を消した後で連れて行くつもりです。

記憶を無くし、闘い方も忘れたダイがバランに連れ去られようとしたとき、ポップは、自分を犠牲にしてでもダイを助けることを決意してバランに立ち向かいます。

メガンテ(自己犠牲呪文)

それは、かつて師匠であるアバンが、自らを犠牲にして、ハドラーから自分たちを助けてくれた時に使った呪文です。

へへっ・・アバン先生は尊敬してるけど・・、こいつだけは真似したくなかったぜ・・

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜106話

と、冷や汗を流しながら言いますが、決意は揺るがないようです。

そして、未だに記憶が戻らないダイに対して、

「・・おれが死ぬところを見ても、まだとぼけたツラしてやがったら・・うらむぜ・・」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜106話

とだけ言い、呪文を唱えます。

かなり、際どいところまで語ってしまいましたが、ぜひこのシーンは、実際に漫画で見て欲しいです。

間違いなく感動するシーンです。

ポップのメドローア

最初は、ただの臆病者だったポップは、精神的には成長したものの、単純な戦闘力で言えば、ダイはもちろん、恋敵のヒュンケルにもまだまだ及びません。

そんなポップが、戦闘においても重要なキーマンになるきっかけとなったのが、

メドローア(極大消滅呪文)

を覚えたことでした。

このメドローアは、ダイの大冒険に登場する技や呪文の中で、“アバンストラッシュ”を抑えて堂々1位の人気を誇ります。

ポップが初めて、戦闘の中でメドローアを放つのは、ハドラー親衛隊との戦いでした。

これまで、敵を倒す最後の決め手を担っていたのは、勇者であるダイや、ヒュンケルでしたが、これまで出会った敵の中でも、最強とも言えるハドラー親衛隊を倒す決め手になったのは、ポップでした。

ポップがハドラー親衛隊に、メドローアを放った見開きのシーンは、これまでのどんなシーンより、かっこよかったです

メドローアを放つ時の見た目のかっこよさもあるのですが、何よりも、最初は弱っちかったポップが、作中最強の呪文を覚えるまでに成長した姿に感動しました!

ポップの覚醒

メドローアを覚えたポップは、名実ともに、勇者の仲間の中心的な存在になっていきます。

しかし、そんなポップに新たな壁が立ちはだかります。

これまで、ポップは、仲間や、師匠、好意を寄せるマァムのために、自分を犠牲にしてまで、闘い抜いてきました。

しかし、大魔王バーンと戦うためには、それだけではなく、魂の力(=自分の意志)が必要になります。

強力な結界で守られたバーンパレス(=大魔王の居城)に侵入するためには、あらゆる邪気を取り払う、破邪の大呪文、ミナカトールを完成させるしか方法がありません。

ミナカトールの威力を最大限に高めるには、輝石と呼ばれるアイテムと、5人の正義の力が必要です。

その5人に選ばれたのは、レオナ、ダイ、マァム、ヒュンケル、そしてポップでした。

5人はそれぞれ魂の力を持つ者でないといけません。

レオナは“正義”

ダイは“勇気”

マァムは“愛”

ヒュンケルは“闘志”

しかし、ポップだけは、自分の魂の力が一体なんなのかすらわからず、「なぜアバン先生はこんな半端者を選んだんだ?」と、勇者の仲間の中で、自分だけが特別な存在でもなんでもない、ただの武器屋の息子であることに絶望します。

そして、かつてのように、その場から逃げ出そうとしたとき、ポップに再び勇気を取り戻させたのがメルルという、ポップに好意を抱く女性でした。

メルルが命を投げ出してまで、ポップのことを信じ、助けようとしてくれたことで、ポップは再び勇気を取り戻します!

ポップは、これまでも、自分の心の弱さに立ち向かい、恐怖を克服し、何度くじけようとも、その度に立ち上がり、仲間と一緒に闘い抜いてきていました。

ポップが自分の魂の力が何なのかという答えにたどり着いたとき、

レオナがいった

「ダイくんじゃなかったんだわ・・。ポップくんの魂の力こそ・・、“勇気”だったんだ・・!!」

引用:ドラゴンクエスト〜ダイの大冒険〜

これまでのポップの冒険は、レオナにこの言葉を言わせるためのものだったかのようにすら思えてしまいます。

そして、このときポップは、これまで使えなかった回復系の魔法までも使えるようになり、さらに力を覚醒させていくことになります。

ポップの名セリフ

ダイの大冒険のポップの名セリフはたくさんあります。

その中でも、一つ選ぶとすれば、ほぼ全員がおそらく同じセリフをあげると思います。

それは、ダイとポップたち、勇者の仲間と大魔王バーンの最終決戦でのこと。

大魔王バーンの、想像を絶する強さを前に、ダイたちは為す術もなくやられてしまいます。

ダイを含む、すべての者があきらめかけた状況にあっても、ポップだけは違いました。

そして、この時、作品史上、もっとも感動的な名セリフを大魔王に向かって言い放つのです!

ポップの言葉は、絶望した勇者をもう一度立ち上がらせます。

結構、際どいところまで語ってしまいましたが、

この後のダイやポップの活躍や、冒険の結末は、ぜひ漫画で実際に確認してください。

本当にいいシーンばかりなので、ここで結末を知るのはもったいなさすぎます!笑

最後に、ポップは、決して特別臆病な人間ではありません。ダイやヒュンケルみたいに、勇気や闘志を初めから兼ね備えている方が珍しいんです。

そんな自分に一番近い存在のポップが、自分の弱さと逃げずに向き合って、成長していく姿に、共感と感動を覚えずにはいられなくなります。