いつの時代も、人は賭け事に魅せられてきました。最近ではオンラインカジノが話題になっています。デジタル技術の発展とインターネットの浸透により、いつでもどこでもドキドキハラハラするようなカジノ体験が気軽に楽しめるようになりました。
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エキサイティングな体験の中では数々のドラマが生まれるものですが、そうしたテーマはマンガやドラマ、映画などの創作にも大きなインスピレーションを与えてくれます。ここでは賭け事をテーマに描かれた、人気のマンガ作品をご紹介していきたいと思います。
賭博黙示録カイジ
賭け事をテーマにしたマンガを語る時に、決して外せないのが福本伸行というマンガ家の存在です。1980年『月刊少年チャンピオン』に掲載された『よろしく純情大将』でデビューした福本氏は、しかし、すぐにヒット作品を生み出すことはできず、その後しばらく下積み時代を過ごすこととなります。その後、1996年から連載を開始した『賭博黙示録カイジ』が大ヒット。一躍人気マンガ家の仲間入りを果たしました。
『賭博黙示録カイジ』のストーリーは、まともに働かず、自堕落な日々を過ごしていた主人公の伊藤開司(通称カイジ)が、友人の保証人となって多額の負債を抱えたことをきっかけに、様々なギャンブルに挑んでいく、というもので、命を賭けた極限の勝負の中での人間の思考や生き様が描かれており、多くの人々を虜にしました。その人気はマンガだけにとどまらず、2007年にアニメ化された他、実写映画化や舞台化されるなど、さまざまなジャンルでメディア展開されました。
福本氏の作品には、『賭博黙示録カイジ』の他にも『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』や『銀と金』など、賭け事をテーマの人間ドラマを扱った作品がたくさんあり、いずれもファンから絶大な支持を得ています。
嘘喰い
「あんた、嘘つきだね」の決め台詞が印象的な『嘘喰い』は、迫稔雄氏によって2006年から2018年まで『週刊ヤングジャンプ』で連載されたマンガです。
「嘘喰い」の異名を持つ天才ギャンブラー・斑目貘を中心に、個性的な登場キャラクターたちが、古くから続く賭け事を取り仕切って絶大な権力を持っている秘密組織「賭郎」(かけろう)の下で賭けやゲームを行い、生死を賭けた頭脳戦を繰り広げるというストーリーになっています。
この作品に登場する賭け事は、ババ抜き、ポーカー、ハンカチ落としなどの誰もが知るゲームでありながら、特殊なルールを加えることで生死をかけたギャンブルへと変更されています。そして、そうしたゲーム上での賭けの際の高度な駆け引きや心理戦が見ものなのはもちろんのことながら、少年マンガによく見られるような迫力満点の戦闘シーンも多く、バトルマンガとしてもの要素も含まれており、幅広い年代の読者から人気を集めました。
また、2022年には実写映画化されて話題を集めるなど、連載が終了した2018年以降もさまざまなメディア展開が行われている作品でもあります。
LIAR GAME
『週刊ヤングジャンプ』で2005年から10年間連載された『LIAR GAME(ライアーゲーム)』は、甲斐谷忍によるマンガ作品です。
「バカ正直のナオ」と呼ばれるほどの正直者の主人公・神崎直は、ある日、ひとつの小包を受け取ります。その中には1億円とともに、「おめでとうございます。あなたは10万分の1の確率をくぐりぬけ、ライアーゲームにエントリーされました」というメッセージが。こうして、対戦相手からマネーを奪い合い、そのためならいかなる手段を使っても構わず、犯罪にも問われないというライアーゲームに、知らぬ間に巻き込まれることになってしまった直は、天才詐欺師・秋山 深一と協力しながらサバイバルゲームを戦っていくことになる…というストーリーになっています。
日本国内ではマンガのヒットを受けて、2007年から2010年にかけてドラマ化された他、映画化もされているだけでなく、お隣の国・韓国でもリメイク版のドラマが制作されるなど、国境を越えて人気を集めました。
この作品の魅力は、なんといっても登場人物たちが繰り広げる心理戦。ライアーゲームのルールは、いずれかのプレイヤーが自分の利益だけを考えた行動を取った場合のみ主催者側にマージンが発生するように作られています。そのため、仮に全てのプレイヤーが結託すれば、誰も得しないかわりに誰も損しないという状況を達成できるわけですが、実際には他人を本当に信頼していいのか、疑心暗鬼となりジレンマに陥る状況が作り出されます。そのため、他のプレイヤーとの結託や裏切りなどの駆け引きが繰り返され、シビアかつドラマチックな人間ドラマが展開されます。
人はなぜ賭け事に魅了されるのか
勝つことが約束されているわけではないにも関わらず、なぜ人は昔から賭け事に魅了されてきたのでしょうか?これまでにも、多くの研究家がその質問に対する答えを科学的に、または心理学的に、さまざまな角度から見出そうとしてきました。
例えば、当たりの金額とその確率を掛け算して期待値を計算し、最も高いものに賭ければ、平均的な利得は最も高くなるわけですが、そこまで合理的に賭けをする人は少ないのが実際のところです。
人間の本心や本質を鮮やかに浮かび上がらせる賭けの世界。そうしたテーマに描かれるマンガの中で繰り広げられるドラマは、いつも人々を惹きつけて離しません。