ダイの大冒険のバランには、ソアラというアルキード王国の王女である妻がいました。2人は、どちらからともなく惹かれあい、やがてディーノと名付けた息子を授かります。
テランの森で、ひそやかに暮らすのですが、その日々はそう長く続くことはありませんでした・・。
ダイの大冒険のバラン
ダイの大冒険のバランは、かつては竜の騎士として、人間たちを救うために魔界へ攻め入り、冥竜王ヴェルザーを倒しています。
冥竜王ヴェルザーは、大魔王バーンと魔界の覇権をかけて争うほどの実力者で、当時、地上を席巻していた魔王ハドラーとは比べ物にならない程の力を持っていたとされています。
バランとソアラ
バランとソアラの出会い
冥竜王ヴェルザーとの戦いで、瀕死の重傷を負ったバランが、アルキード王国の近くにある奇跡の泉で傷を癒そうとしていた時に出会ったのがソアラでした。
ソアラは、アルキード王国の王女でした。王女でありながら、素性の知れぬバランを慈愛の心で受け入れたのです。
いつしか、2人は互いに惹かれ合うようになるのですが、そんなバランのことを、アルキード王国の臣下たちは疎ましく思うようになります。
自分がよく思われていないことを察したバランは、争いごとになる前に、自ら身を引き、アルキード王国を去る決意を固めるのですが・・。
バランとソアラの駆け落ち
ソアラに別れを告げて、国を去ろうとしたとき、ソアラは、「自分のお腹にはあなたとの子が・・」と打ち明けます。
その言葉を聞いて、バランはソアラと駆け落ちする覚悟を決めるのでした。
アルキード王国の近くにあったテランの森で、バラン、ソアラ、ディーノと名付けられた息子の家族3人による、ひそやかな暮らしが続いたのはわずかな時間だけでした。
仮にも、アルキード王国の王女だったソアラが、素性の知れぬ男と駆け落ちし、あまつさえ、子供まで授かったことは、王家の権威を損なうには十分すぎるできごとでした。
バランとソアラの別れ
ソアラとディーノの身の安全を保証することと引き換えに、バランは自ら処刑台に立つことを決意します。
バランがその気になれば、アルキード王国ごと消しとばすこともできたのですが、ソアラの存在があったために、それを選択することはありませんでした。
しかし、結果的に、この決断が、バランとソアラを二度と会えないようにさせてしまうのです。
バランの処刑当日・・。
この日、本来なら、この世を去るのはバラン1人だけだったはずですが、
実際に、地上を去ることになったのは、
・・ソアラと、
アルキード王国そのもの、
でした。
バランは、この出来事で、人間に対して、これ以上なく失望し、後に、大魔王バーンの誘いを受けて、魔王軍の超竜軍団の団長として、成長した息子・ダイと戦うことになるのです。
バランとディーノ
バランは、人間を強く憎んでいましたが、唯一、息子のディーノだけは別でした。
ディーノは、かつて、バランが処刑されることになった時、流刑を受けています。この時、ディーノが辿りついたのが、デルムリン等でした。
この島に住む、鬼面導士のブラスが、島に流れ着いたディーノを拾いあげ、“ダイ”と名付けて育てたのでした。
ダイが成長して、魔王軍のハドラー、クロコダイン、ヒュンケルを次々に倒して行く中、初めは、バランはダイが自分の息子であることに気づいていませんでした。
しかし、ダイの額に、竜の紋章が浮かび上がったことを聞いて、すぐさま息子を連れ戻すために、ダイの元へと駆け出します。
地上最大の親子ゲンカ
竜の騎士は、本来、世界に1人だけしか存在しないはずでした。しかし、バランがソアラと結婚して子供を授かったため、2人の竜の騎士が存在することになりました。
竜の騎士は、世界のバランスを保つために存在していて、バランスを乱すものを討ち亡ぼすために、強大な力を神から与えられています。
実際、バランは魔界で大きな力を誇示していた冥竜王ヴェルザーを倒し、地上ではアルキード王国を国ごと吹き飛ばしています。
そんな竜の騎士2人の親子ゲンカは、壮絶なものになったことは想像に難くないと思います。
地上最強のタッグ
大魔王バーンを倒すために、敵の本拠地であるバーンパレスに先陣を切って乗り込むことになったのは、バランとダイの竜の騎士タッグでした。
バランは、表向きはヒュンケルに受けた借りを返すために、ダイたちに協力したことにしていますが、本音では、この時すでに、もはや人間や地上をどうこうしようという気持ちはなかったみたいです。
そして、不器用ながらも、これまで与えてあげられなかった分、ダイに父親としての愛情を注いでいきます。
超魔生物として生まれ変わったハドラーと対峙した時、バランはようやく父親としての表情を見せることになります・・。
ハドラーとの戦いで、自分を庇って深手を負ったダイを、今度は逆に庇うために、ダイにラリホーマ(睡眠魔法)をかけて、ハドラーと1人で戦おうとするバラン。
ダイは、バランが自分を救うために、命をかけるつもりであることを察しながらも、魔法の効果で眠りにつくのでした。
この時、ダイの目からは、涙がしたたり落ちていました・・。
バランは、ダイの寝顔をみて、
「相変わらず、寝かしつけるのが下手だな・・。」
とこぼしています。
この時の、バランの表情と、背景にバラン、ソアラ、ディーノの家族3人のひそやかな暮らしが描かれたシーンは、ダイの大冒険の中でも、私が大好きな場面の一つです。
バランと竜騎衆
バランには、竜騎衆と呼ばれる、直属の部下がいます。
竜騎衆は、空戦騎ガルダンディー、海戦騎ボラホーン、陸戦騎ラーハルトの3人で形成されます。
肩書きがあらわるように、それぞれが、“空”、“海”、“陸”での戦いを専門にしています。
なかでも、ラーハルトは、他の2人とは桁違いの強さを持っていて、移動速度だけなら、バランをも凌ぐほどの実力の持ち主です。
ガルダンディと、ボラホーンは、実際にはそれなりの実力者のはずでしたが、完全にラーハルトのかませ犬として登場し、あっけなく退場してしまいます。
ラーハルトは、ヒュンケルと名勝負を繰り広げ、ダイたちと大魔王バーンとの最終決戦では、英雄のような登場をして、美味しいところをかっさらっています。
ラーハルトの代名詞といえば、必殺技のハーケンディストールです。
バランは、回想シーンでは、優しい表情を割と見せているのですが、本編ではダイの前ですらほとんど笑顔を見せていません。
その姿が、地上最強の強さを持っていながらも、精神的には未熟なところがあるように見えて、ある意味、とても人間味のあるキャラクターです。