テセウスの船の原作の犯人は、まさかの人物でした。
犯人の動機は衝動的で、子供らしさがあるのですが、犯行は意外にも念入りに計画を立てて実行されています。
犯人が起こした事件と、生い立ちについて紹介します。
こちらの記事では原作の犯人に関する、重要なネタバレを含んでいます。原作をまだ読んでいない方はご注意ください。
テセウスの船の原作漫画で起きた事件
テセウスの船の原作漫画では、音臼村という小さな村で、不可解な事故や事件が、いくつも起きています。
そのうちのほとんどが、実は、音臼小の事件の犯人によるものでした。
音臼小で飼育しているうさぎが惨殺される|2巻
1988年7〜8月
音臼小で飼っている、4羽のうさぎのうち2羽が惨殺される事件。
夏休み中だったため、子どもたちにショックを与えないよう、死因は伏せられていました。
実は、これも音臼小の事件の犯人によるものです。そして、およそ半年後に、さらにもう1羽を惨殺しています。
三島千夏がパラコートを誤飲して中毒死|1巻
1989年1月7日
三島医院の次女、三島千夏が自宅倉庫にあったパラコートを誤飲して、中毒死しています。
田村心が、タイムスリップしてきたのも、この事故があった日と同じ日でした。
田村心が、突然現れた不審人物だった上、倉庫からパラコートを盗んだところを目撃されていたこともあり、犯人ではないかと疑われていました。
しかし、真犯人は、音臼小の事件を起こした人物と同じでした。
三島明音と佐野鈴が行方不明になる|3巻
1989年2月5日
三島明音と佐野鈴が、休みの日に出かけた後、行方不明になっています。
吹雪で、捜索隊が音臼村へたどり着けなかったため、村の人たちで必死の捜索が行われました。
深夜0時を回った頃、佐野鈴だけが、自力で戻ってきましたが、三島明音は依然として行方不明のままです。
そして、この日、挙動がおかしかった長谷川翼も姿が見えなくなり・・2日後の夕方、音臼神社で2人が遺体となって発見されます。
この事件にも、音臼小の事件を起こした人物が関わっています。
三島明音の事件を捜査していた金丸刑事が事故死|7巻
1989年2月26日
三島明音の事件は、長谷川翼の犯行によるものとされていました。しかし、金丸刑事は、真犯人が別にいるのではないかと疑い、独自で捜査を続けていました。
そして、音臼岳で、操作中に、足を滑らせて崖から転落死したことになっています。
しかし、実は、これも音臼小の事件を起こした人物による犯行でした。
音臼小のお泊まり会で児童や学校職員が毒物により死亡する
1989年6月24日・25日
佐野文吾が、逮捕されることになった事件です。
田村心がタイムスリップする前と後で、事件が起きた日にちや、被害者、毒物が混入された飲み物などが変わっています。
どちらも、佐野文吾の自宅から、事件に使われた毒物が発見されたことが、逮捕の決め手になっていますが、その毒物は真犯人によって、こっそりと持ち込まれたものでした。
原作漫画の真犯人の動機と生い立ち
真犯人の生い立ち
真犯人は、小学4年生の時に音臼小にやってきています。
この時、真犯人は、祖母と二人暮らしでした。父親はいなくて、母親はすでに亡くなっています。
そして、母親が出てきた夢を見て、うなされていたことなどから、幼い頃、母親に虐待をされていたことが推測できます。
音臼小の事件後の真犯人の行方
音臼小の事件の後に、祖母が病気で亡くなると、担任の木村さつきが養子として引き取ることになります。
また、真犯人は、事件の時に、犯人だと疑われることを避けるため、毒物を少量口にしています。
その後は、毒物による後遺症で、下半身付随となり、車椅子に乗って生活をしています。
介護施設で、村田藍と出会い、2人の間には子供ができています。
真犯人の動機
幼い頃の生い立ちが原因で、真犯人は心を閉ざしていました。
それでも、席が隣だった佐野鈴は、あきらめずに真犯人に話しかけます。
そのやさしさに、真犯人はいつしか惹かれるようになり、そして、佐野鈴の全てを欲するようになります。
真犯人は、いかなる手段を用いても、佐野鈴を手に入れるという目的のために、凶悪な事件を次々に起こしていきます。
音臼小の事件を起こしたのも、真犯人にとっては、佐野鈴を手に入れるためには必要なことでした。
真犯人は誰かに気づいて欲しかった
真犯人は、自分の犯行を事前に計画し、そしてテープに録音しています。
おそらく、そうすることで、自分の存在や有能さを、誰かに気づいて欲しかったんだと思います。
それは、三島明音を毒殺したとき、わざと「S」のキーホルダーを残したところにも現れています。真犯人は、わざと佐野鈴にだけ、意図がわかるような証拠を残し、田村心に、山小屋のヒントになるような情報を与えています。
まるで、「自分がやったことを見つけてくれ」と訴えているみたいです。
真犯人の計画性の高さと衝動性の強さ
真犯人は、音臼小の事件のあと、車椅子生活をしていますが、実はこれは、演技です。
普通に歩くことも、走ることもできます。
なぜ、真犯人は車椅子に乗って、下半身付随であると装ったのでしょうか?
これは、推測ですが、そうすることで、佐野鈴に、加害者家族としての罪悪感を募らせ、自分のものにしようとしていたのではないかと思うのです。
真犯人は、事件後、佐野鈴の動向を追っていました。介護施設で佐野鈴と再会したのは偶然でもなんでもないのです。
実際、佐野鈴は、事件の後遺症により苦しんでいる真犯人を見て、「彼を支えていくことが加害者家族として、罪を償うことになる」と、田村心に話しています。
もしこの推測が正しければ、真犯人の計画性の高さは尋常ではないですね。
でも、真犯人は、計画性の高さと一緒に、相反する衝動性の強さも持ち合わせていました。
そのために、これほどまでに残虐な事件を起こし続けていたのです。
田村心が、1989年にタイムスリップしたときに、最初に会った狐のお面をした子が、おそらく真犯人です。
改めて、1巻から読み直すと、いきなり、田村心が真犯人に出会っていることに気づいて、驚いてしまいます。
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