私は、テセウスの船の長谷川翼は、未来を知っていたのではないかと疑っています。
その根拠として、新元号が公表される前に、平成になることを知っていたというのがあります。長谷川翼がどうやって未来のことを知ったのか、この記事では2つの仮説を立てて考察していきます。
ここからは、テセウスの船の長谷川翼に関する、重要なネタバレを含んでいます。まだ原作を最終回まで見ていない方はご注意ください。
テセウスの船の長谷川翼は“平成”を予言していた！？
テセウスの船の原作で長谷川翼が最初に登場するのは、1989年1月7日、平成最初の日の三島医院です。新聞配達員だったので、夕刊を届けに来たところでした。
この時、三島医院の長女・明音が、「ねぇねぇ翼クン。どうして次は“平成”になると知ってたのー？」と訪ねています。
明音ちゃんの質問に対して、「すごいべ明音ちゃん。俺の予知能力だ」と答えています。
まるで、長谷川翼が“未来のことを知っている”ということを暗示するかのような会話ですよね。
新元号については、厳重な情報漏洩対策がされるので、新聞配達の若者が予め知ることができるようなことではありません。
平成の元号がテレビで報道されたシーンは有名ですよね。あれは、正確には1月7日の14時半ごろです。
そして、新聞では、最速でも1月7日の夕刊3版で報じられました。
つまり、長谷川翼が新聞配達員であっても、1月7日の14時半以前に、“平成”の元号を知ることはできないはずなのです。
仮に、長谷川翼がテレビで新元号を知ったとすれば、その日の夕方に、「なんで知ってたの？」と明音ちゃんを驚かせるのには無理があるように思えます。
ちなみに、長谷川翼が未来のことを知っていた可能性を高めるシーンは、他にもあります。
テセウスの船の長谷川翼は未来を知っていた説の根拠とは？
1989年1月7日。この日、音臼村では2つの事故が起こります。
- 佐野鈴（11）が、家の屋根の除雪中に転落。命に別条はなかったが、顔に凍傷によるあざが残ってしまう
- 三島医院の次女・千夏（5）が、倉庫にあったパラコートを誤って飲んでしまい、死亡してしまう
この2つの事故を、長谷川翼は予め知っていたのではないかと思うのです。
長谷川翼が佐野鈴を助け出すはずだった！
本来の事実では、長谷川翼が、雪に埋もれていた佐野鈴を見つけて助けるはずでした。しかし、長谷川翼よりも先に、過去へタイムスリップしてきた田村心が鈴を見つけて助け出してしまいます。
この時、新聞配達員の長谷川翼は夕刊を配達していたので、玄関のすぐそばに埋もれてた佐野鈴を見つけることができたとしても、不思議ではありません。
しかし、当日はひどい吹雪だったので、仮に足元に何かあっても気づかない可能性もありました。それでも、長谷川翼は、予め佐野鈴が“そこに埋まっていることを知っていた”から、助け出すことができたのです。
もし、本当に長谷川翼が未来を知っていたとすれば、自分よりも、田村心に先に佐野鈴を見つけられたことで、内心あせっていたに違いありません。
長谷川翼は、三島千夏がパラコート中毒で死亡することを知っていた！？
長谷川翼は、田村心が三島医院の倉庫からパラコートを持ち出すところを見ています。
ただ、この時2人の距離は結構離れていました。長谷川翼がものすごく視力がよくないと、それ程大きくない容器に書かれた文字を読むことなどできなかったはずです。
実際、長谷川翼は、翌朝になって、田村心に対して「倉庫から何盗った！？」と問い詰めているので、田村心がパラコートを盗ったことには気づいていないみたいです。
長谷川翼は、三島千夏がパラコートの誤飲によって、中毒死することを知っていたとしても、それが事故なのか事件なのかまでは知らなかったのではないでしょうか？
だから、“田村心が倉庫で千夏ちゃんを騙してパラコートを飲ませたあと、証拠隠滅のためにそれを持ち出したのでは？”と疑っていたのでしょう。
テセウスの船の長谷川翼が未来を知っていたのはなぜ？
長谷川翼が、新元号が平成であることを予言するなど、未来を知っていたのはなぜなのでしょうか？
理由として
- 長谷川も平成の未来からやって来た
- 長谷川に平成の時代からやってきた誰かが未来を教えた
といったものが考えられます。
長谷川も平成の時代からやって来ていた？
長谷川翼が未来を知っていたのは、田村心と同じように、彼も平成の時代からやって来ていたからだと考えられます。
音臼村には、お稲荷様の神隠しや祟りに関する言い伝えがあって、過去にお稲荷様の祟りにあった家族があると、音臼小に通う子どもたちが話しているシーンがあります。
それが、長谷川翼の家族だったのかもしれません。婚約中の佐々木紀子が住む家の表札には、後から付け加えられたように長谷川翼の名前がありました。
もし、長谷川翼がお稲荷様の神隠しによって、平成の時代からやってきたのだとすれば、三島明音の事件での彼の行動にも納得がいきます。
長谷川翼は未来の出来事を誰かから聞いて知った？
仮に、長谷川翼が平成の時代からやって来たのでないとすれば、誰かから教えてもらう他ないですよね。
長谷川翼に未来のことを教えることができるのは、
- 田村心
- 加藤みきお
- 木村みきお
の3人だけです。
このうち、田村心である可能性はゼロです。なぜなら、田村心がタイムスリップしてきたのも、長谷川翼と明音ちゃんが、新元号に関する会話をしている1989年の1月7日で、それより前に長谷川翼に会って、未来のことを教えることはできないからです。
そこで、可能性として残るのは、加藤みきおと、木村みきおです。
木村みきおは、田村心と同じく2017年からタイムスリップしてきています。木村みきおが具体的に何日にタイムスリップしたのかは直接的には明かされていません。
つまり、木村みきおがタイムスリップしたのは、田村心がタイムスリップした1月7日よりも前だった可能性があるのです。
ミスリードの可能性が高いですが、実は、木村みきおが1月7日以前にタイムスリップしていたことを証明するようなシーンがあります。
木村みきおがタイムスリップした過去は何日ごろ？
木村みきおは、1989年の過去にタイムスリップしてから加藤みきおに会っています。
この時の木村みきおの服装は、タイムスリップする前と同じだったことから、過去に来たあと、すぐに加藤みきおに会いにいったことが推測できます。
そして、加藤みきおの服装から、季節は6月〜9月ごろだと推測できます。
一方、田村心がタイムスリップしたのは、1989年6月13日ごろでした。
これらのことから、普通に考えれば、木村みきおがタイムスリップしたのも、6月13日前後だと推測できます。
しかし、この時、加藤みきおが、猫を使ってパラコートの効果を実験しているように見えたのが引っかかります。
というのも、加藤みきおが、三島千夏の事件に関して録音した独白テープには、“この前やった猫の時より時間がかかった”という内容があります。
つまり、加藤みきおが、猫を使って、パラコートの効果を実験していたのは、1989年1月7日以前です。
もし、本当に木村みきおが、1月7日以前にやってきていたとすれば、ほとんどの考察がひっくり返るような衝撃的な事実です！
あなたはどちらだと思いますか？
テセウスの船を読んで、色々と考察をしてみるのも、きっと楽しいですよ。
テセウスの船のような謎解きがあるストーリーの作者は本当にすごいです。
私は何度も読み返してようやく、この仮説にたどり着きましたが、推理力のある人なら、1回読み返しただけで気づくかもしれないですね笑
テセウスの船の長谷川翼の本性と秘密
長谷川の本性
テセウスの船の長谷川翼は、音臼村に住む人たちからの評判もよく、「翼くん」と呼ばれて、親しまれています。
音臼小に通う子どもたちも、同じように翼くんと呼んで彼を慕っていて、長谷川も子どもたちにお菓子をあげたりなどして、かわいがっている様子でした。
しかし、ストーリーが進むにつれて、長谷川の本性が次第に明らかになっていきます。
長谷川翼の秘密
実は、長谷川翼には、知られてしまうと、音臼村では暮らせなくなるほどの重要な秘密があります。
長谷川翼の秘密とは、彼の趣味や性癖に関係するものなのですが、音臼小に通う生徒のうち、少なくとも2人が彼の秘密の犠牲になっています。
長谷川翼の秘密が明らかになるのはテセウスの船の3巻です。
テセウスの船の長谷川と犯人の関係
2017年の現代では佐野文吾が犯人とされている、音臼小の事件の事件には、真犯人がいます。
この真犯人と長谷川との間には深い関わりがありました。そして、長谷川の秘密についても知っていたのです。
ちなみに、原作漫画の真犯人についてはこちらの記事で知ることができます。
▶︎▶︎テセウスの船の原作漫画の犯人〜動機が衝動的なのに計画的な犯行〜
長谷川翼が黒幕に脅されて起こした事件とは？
長谷川は黒幕に、「言う通りにしなければ、秘密をバラす」と脅されて、とんでもない事件を起こしてしまうのです。
長谷川翼が秘密を隠し通すために犠牲になった2人のうちの1人が三島明音でした。
テセウスの船の原作漫画のストーリーは、本当に緻密に構成されています。全体を把握したい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶︎▶︎テセウスの船｜原作漫画のネタバレ〜あらすじを時系列で紹介〜
テセウスの船の原作をまとめ買いするなら、こちらの記事が参考になると思います。最大40％割引で全巻買い揃えることができます。
