
今回は、「ヒマチの嬢王」をレビューしたいと思います。
キャバクラの話って聞くと、つい敬遠してしまうかもしれませんが、この作品は一味違います。
基本、コメディなので、安心して読むことができます。
また、元・歌舞伎町No1がシャッター街を蘇らせるという、ポジティブなテーマが軸にあるので、もしもドラマや映画になったとしても、十分見応えのある作品です。
ヒマチの嬢王のレビュー
どんな漫画?見どころは?
ヒマチの嬢王がどんな漫画なのかを、一文で説明するならば、
鳥取県の歓楽街・ヒマチを舞台に、歌舞伎町の元・No1キャバ嬢が無双する話。
ドラクエで例えるなら、魔王を倒して世界の平和を取り戻した最強勇者が、転生して、能力や知識は前世のまま、小さな村から再び冒険に出るようなものです。
そりゃもう、スライムくらいなら、ボロいナイフでも一撃です。
あ、でも、かの有名な転生した最強スライムは別ですよ?笑
ヒマチの嬢王では、
「キャスト(=キャバ嬢)としても、経営者としても、知識と能力をもっている、一条アヤネが、困難に立ち向かい、どうやって目標を成し遂げるのか?」
という点が大きな見どころです。
キャバクラやホストが、物語の中心に据えられていると、「ドロドロした昼ドラ」をイメージするかと思いますが、全くそんなことはないです。
むしろ、田舎町のシャッター街を活性化させていくという、ポジティブな世界観です。
基本的にはコメディで、笑わそうとするシーンは、普通に面白くて、締めるところは、しっかり締める。
主人公や、脇をかためる登場人物にも、好感が持てるので、安心して読み進められる漫画です。
主人公の一条アヤネ
一条アヤネは、竹を割ったような性格で、口は悪いんですが、好感が持てます。
そして、めちゃくちゃ、カッコいいんです。
私が、最初に「この人、カッコいい!」って、思ったシーンは、
街で若者に「超キレイっすねー」と、ありふれた言葉でナンパされた時、アヤネが返した言葉。
「・・・悪いけど聞き飽きてるわ。もっと面白い口説き文句を用意して出直してちょうだい。」
街で、ナンパした女の子に、こんな返しされたら、一発で惚れるか、「何を!こんチキショウ!・・今に見てろ」って、一瞬で虜になると思います。
“歌舞伎町、元・No1”っていう肩書きがあるから納得できるし、逆に、その凄さを際立たせるシーンです。
あらすじ
豪華絢爛。
右手に高級シャンパン。
左手に諭吉。
目の前のテーブルの上には、高級なお酒が、ずらーっと並んでいて、その真ん中で、誕生日の記念撮影をする一条アヤネ。
それが、なぜか次のコマでは、
右手にテレビのリモコン。
左手には、缶チューハイ。
鳥取県、米子市にある実家で、こたつに入ってワイドショーの不倫報道を見ているのが、一条アヤネだと理解するのに、数秒の時間を要しました。
見た目も、美人とは程遠く、完全に田舎のただのおっさんです。
突然、実家に帰ってきてから、連日、家でぐーたら過ごす娘を見かねた母親は、「明日までに働いとらんかったら、雪ん中に放り込むけな。」と、宣告します。
実家でも、「住むなら生活費として月5万は入れろ」と言われたアヤネは、仕方なく、母親が経営するスナックで働くことになります。
そもそも、アヤネは、キャバクラの仕事に疲れて、実家に戻ってきていたのですが、背に腹は変えられなかったみたいです。
この真冬に、雪の中に放り込まれては確実に死ぬ。
とりあえず、生きねば・・笑。
アヤネは、母親を見返すためにも、本気を出して働くことを決意。
すると、元・歌舞伎町No1の肩書きは伊達じゃなく、あっという間に、太客を捕まえてお店に出勤します。
そして、たった数時間で、お店の売り上げ3ヶ月分を叩き出します。
ヒマチの嬢王の物語は、東京で大成長した娘が、田舎に凱旋して、母親が経営するスナックを盛り返す・・・!
という、単純なものではなく笑。
この日、偶然再会した、ある男が開いた新しい店を、日本一の店にすることになるのです。
ヒマチの嬢王のストーリーは“人の生き方そのもの”
人生はよくドラマや映画に例えられますよね。
ヒマチの嬢王のストーリーは、登場人物一人一人のドラマを、ぎゅっと濃縮して描かれています。
主人公は一条アヤネですが、数話単位でみれば、別の主人公がいます。その人物を中心に、アヤネや、レギュラーメンバーがどう接していくかが見どころです。
だいたいは、
「コイツ、実際におったら絶対近づかんわ。」
みたいに、第一印象最悪で登場してきます。
でも、物語が進むにつれて、その人物が変わっていって、いつのまにか魅力的な人物になっているんです笑。
裏少年サンデーで2018年11月に連載開始
作者:茅原クレセ
ドラマ化や映画化は?
現在のところ、ヒマチの嬢王に、ドラマ化や映画化の話はないようです。
しかし、物語のテーマや、登場人物の魅力からして、十分可能性のある作品です。
個人的には、ドラマにするなら、コメディ要素を強めて、基本1話完結のオリジナルの物語。
映画にするなら、原作の軸となるストーリーを抜粋して、ぎゅっと凝縮するのがいいかなーって思います。
主演は、ぱっと思い浮かんだのは、小池栄子さん。
No1キャバ嬢としての貫禄も十分出せるし、コミカルな演技もバッチリです。
まとめ
タイトルにもある「ヒマチ」とは、鳥取県の米子市にある朝日町という実在する歓楽街の通称です。
朝日町では、すでに“ヒマチの嬢王”とコラボした町の活性化が進められているみたいですよ。
ヒマチの嬢王は、このまま連載が続けば、他のメディアでも取り上げられるはずです。
読んで損はしないので、自信を持ってオススメできる作品です。