青楼オペラをレビュー

今回は、「青楼オペラ」をレビューしたいと思います。

この作品を読むきっかけになったのは、2020年2月26日に、最終回が収録された12巻が発売されたことで、多くの電子書籍サイトでランキング上位に入っていたことです。

青楼オペラは、これまで少女漫画を読んだことがない人に、最初の1冊として、おすすめできる作品です。

というのも、私が、王道の少女漫画を読んで「続きが読んでみたい」と思ったのも、この作品が初めてだったからです。

こちらの記事では、「少女漫画初心者向け」にレビューしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

青楼オペラをレビュー

私は、普段、少女漫画を読みません。

そんな私でも、青楼オペラをすんなりと読み続けられたのは、

  • ストーリーの軸がはっきりとしている
  • コミカルなシーンはちゃんと笑える
  • ジーンとくるシーンでは、ちゃんと泣ける

という、基本的なところがしっかりとしている作品だったからです。

青楼のオペラでは、遊郭・吉原の“闇”の部分が、とても上手く描かれています。

遊郭には、昼ドラのようにドロドロとした女の戦いや、お家の借金返済のために、その身を捧げなければならなくなった女郎たちの辛い過去が切り離せないものです。

華やかな世界にある、“闇”の部分を、延々と語られてしまうと、どうしても気が滅入ってしまいます。しかし、だからといって、そこを避けてばかりでは、吉原を題材に選んだ意味がありません。

そこで、登場人物を通して、要所要所で、“闇”の部分が描かれています。

主人公の朱音は、他の登場人物と関わることで、魅力が引き出されるタイプです。

辛い過去を持っていても、屈することなく強く生きようとする逞しさを持ちながら、恋愛のこととなると、途端に気弱になります。

ある意味、とても現実的なんですが、非現実(≒理想)を求めて漫画を読んでいると魅力に欠けます。その足りない部分を、脇を固める重要なキャラクターたちが埋めてくれています。

ちなみに私が特に好きなのは、朝明野花魁です。

主人公の朱音の指導係を任された、人気No1の花魁です。

見た目の綺麗さもですが、生き方や振る舞いがとてもかっこいいのです。

それでは次に、あらすじを少し紹介します。

あらすじ

青楼オペラは、江戸時代の遊郭・吉原を舞台にした物語。

朱音(あかね)は、吉原でも5本の指に入る大見世、曙楼(あけぼのろう)で女郎として奉公することになる。

この時代、お金に困った武家が、娘を遊郭に身売りすることは、そう珍しい話ではなかった。

しかし、武家の箱入り娘だった朱音が吉原の大門をくぐったのは、お家の借金の返済のためではなく、自らの意志によるものだった。

朱音が吉原の大門をくぐったのは、両親を殺害した賊の手がかりとなる情報を得るためだった。

朱音は生まれ持った器量の良さや、佇まいの美しさを持っている。その点を、曙楼の楼主に見込まれて、お見世一の花魁、朝明野(あさけの)が指導係としてつくことになる。

朱音がお見世に入った初日、いきなりある男が彼女の身請けを申し出るという、吉原でも前代未聞の出来事が起こる。

その男の名は、近江屋惣右助(おうみやそうすけ)。元々は武家の息子だったが、ある事情により、近江屋の主人が養子として引き取っている。

惣右助は、容姿端麗で、この時代には珍しいザンバラ髪をしている。剣術の心得があり、頭も切れる。

そんな男が、なぜ吉原の大門をくぐったばかりの朱音を落籍(ひか)すというのか、皆一様にして首を傾げた。

朱音も、なぜ惣右助が、出会って間もない自分を、大金を払ってまで落籍しようとするのか、その理由は皆目わからなかった。

朱音が身請け話を断り、どんなに冷たくあしらっても、しつこく食いさがる惣右助。

朱音の心は、良くも悪くも、惣右介のことで一杯になる。それは、一瞬でも自分が吉原へやってきた目的を忘れる程だった。

印象に残ったシーンやセリフ

正直、私は、主人公の朱音は好きではありません。

というのも、朱音の描き方には、たまに“私を嫌いにならないで”と、読者に訴えかけているように見えるシーンがあるからです。

例えば、「私はなんて不幸なの?」と、悲劇のヒロインを気取る主人公というのは、往々にして嫌われるものですよね。

ここにいるお女郎衆は、みんなつらい思いをしているはずでしょう。自分ばかりが不幸だなんて思ってないわ。

引用:青楼オペラ1巻の朱音のセリフ

朱音が悲劇のヒロインを気取らないことがわかるセリフです。

ただ、このセリフに私は、どうしても違和感というか、妙なしこりが心に残りました。

というのも、

このセリフは、自分で言ってしまうと、どうしても押し付けがましく聞こえるよね。

朱音のことを、朱音が武家の幼子だった頃からずっと見てきた利一郎が、第三者の視点から「お嬢(朱音)は、決して自分ばかりが不幸だなんて思っておられませんよ。」と言っていたならば、説得力があったかなと思います。

ただ、朱音は最初から最後まで未熟で、魅力を感じない主人公というわけではなかったです。

朱音が曙楼に入った日。

最初は、朝明野花魁に「どこの馬の骨とも知れぬ素人の面倒までは見れん」と指導係を断られています。

それに対して朱音は、「骨だって、磨けば光る象牙もあるものを・・」と返しています。

この言葉には、朱音の芯の強さと、吉原で磨かれることで、成長する未来が込められています。

青楼オペラは、まるで、江戸時代にいるかのような錯覚を覚えさせてくれるのも、青楼オペラの魅力です。

惣右助「そういやまだ初鰹を食ってねぇな。食うか?」
朱音「いりんせん」
惣右介「・・・・・・。」

仮にも、妓楼の客としてやってきている惣右助の提案に対して、即答でNoをつきつけています笑。

こんなことをいってますが、朱音が惣右助に対して、心を開き始めたとわかるシーンなのですが、このシーンの背景がとても心地よかったです。

妓楼の2階にある部屋にいるのですが、春の心地よい夜風が、絵の中からでも伝わってくるようでした。

月明かりと、部屋の行灯が合わさった柔らかい光が、とても綺麗に描かれているよ。

大げさな言い方かもしれないですが、青楼オペラは、頭で理屈を考えながら読むのではなく、心で、情景を感じ取りながら、読み進めるべき作品なのだと思います。

▶︎▶︎青楼オペラを読む

まとめ

多分ですが、青楼オペラは、“江戸時代の吉原を題材にした作品”というアイデアが先にあって、その他の設定が考えられた作品だと思います。

単行本の巻末コーナーでも、それに近いコメントがありました。

そのため、朱音が両親を襲った賊の手がかりとなる情報を得るために、吉原の大門をくぐるという設定には、少しだけ違和感を感じなくもなかったです。

それが、物語の序盤で、どうしても引っかかっていたのですが、読み進めるうちに、朱音や惣右助のキャラクターとしての魅力に惹かれて気にならなくなりました。

面倒な理屈は抜きにして、何も考えずただただ感性だけで漫画を読みたいときに、おすすめできる作品です。

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